【old tale】\
町の人々は、手に手に松明を、農耕用の大きなフォークや長い鎌を持ち
怒っているのか、
笑っているのか、
怯えているのか。
集団を作る事で身を守る小動物のように。
口々に意味の無い事を叫びながら、
真っ黒な雲霞となって館に押し寄せ、
城壁に火を放ち、石を投げ、扉を破ろうと叩いたり蹴ったりゆすったりしました。
今にも扉が破られると言うその時です。
彼らは声無き声を聞きました。
彼らが振り返ると、深い森へ続く道に
白き魔女が そっと と佇んでいたのです。
なんということでしょう。
サティは戻ってきてしまったのです。
ストームに聞き、全てを知り、戻ってしまったのです。
サティは白い手を挙げ雲の切れ間から月光を一筋導くと、
その美しい声で風を呼び、
彼らの松明を吹き消してしまいました。
真っ暗な中に、サティの姿だけが月明かりに白く輝きます。
「あそこだ、あそこだ!魔女はあそこだ!捕まえろ!! 」
その頃別の町に居たジュリアンは、
悲鳴のような馬の嘶きを聞きました。
会議の場から飛び出すと、
そこにはからっぽの鞍を背負い、興奮して暴れまわるストームの姿がありました。
ジュリアンが手綱を掴むと潮が引くように大人しくなります。
「どうしたんだ、お前がひとりで来るなんて…」
ジュリアンがストームの鬣を撫でると、何かか指に触れました。
それは月光を内に宿しているかのように静かに輝く淡い乳白色の石、ムーンストーン。
サティのネックレスです。
ジュリアンは夜を駆けました。
ストームもくつわから血泡を出してもまだ走りました。
それでも
もう
全ては
遅かったのです。
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