【old tale】Y
幸せの後ろには不幸がぴったりと寄り添っています。
それは突然にやってきました。
飢饉やそれに伴う疫病で、いよいよ世の中が物騒になり、
人々の心も荒廃し、誰も彼もが「魔女」とされ
捕まえたり捕まえられたりしはじめました。
ジュリアンは何とかそれを止めようと、
色々な所に出かけては説得したり、助力を求めたり
始終出かけなければいけなくなりました。
そんな、ジュリアンが不在の時です。
庭師のおじいさんが泣きに泣きながら不自由な足でかけて来ました。
腕には孫を抱いています。
「死んでしまった、死んでしまった!
ワシの大切な孫が、ワシの命が死んでしまった!」
孫は足の不自由なおじいさんの為に薬草を取りに行き、
崖から落ちてしまったのでした。
おじいさんの悲しみ、嘆きは大変なものです。
孫の亡き骸をひしと抱いて、誰がなんと言っても
離そうとしません。
そしてそんなおじいさんに縋って泣く、
自分が死んでしまった事が分からない小さな小さな魂も
大変な嘆きようです。
サティは二人が大好きです。
大好きな人が泣いています。
互いに呼び合うのに、声も届かず、
互いに求め合いのに、手も届かず。
サティの心は二人の悲しみで引き裂かれそうです。
『けしてその力を使ってはいけないよ』
サティはジュリアンとの約束をやぶってしまいました。
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