【old tale】X
ジュリアンはたいてい館には居ましたが、
いつも厳しい顔をした他国の使者や、
怒ったような顔をした領民達が引っ切り無しに会いに来て、
自由な時間はほとんどありません。
ユーリもジュリアンを手伝って手紙を届けに行ったり、
お手伝いさんの代わりに生活に必要な物を買いに行ったりと
忙しそうです。
サティは庭師のおじいさんの孫とお友達になりました。
おじいさんの娘夫婦は亡くなってしまっていたので、
おじいさんと孫は二人きり。とっても仲良しです。
「僕は大きくなったらお医者になるんだ。
そしておじいちゃんの足を治してあげる。
そしてジュリアン様のお役に立つんだ。」
その度におじいさんは嬉しそうに頷きます。
サティもとっても嬉しい気持ちになりました。
館の外は、不吉な風が強くなっているようですが、
館の中、とくに夜、夕食時は、
穏やかで優しいひと時が訪れます。
賑やかなのが好きなユーリが
「別々に食べるのは作るのも片付けるのも面倒だ」と言い、
夕食はみんなで、ジュリアンも、サティも、ユーリも、
お手伝いのお婆さんも、庭師のおじいさんも、孫も
みんなで食べることになっており、
それにはどんなに忙しくともジュリアンも必ず現れます。
サティは今まで一人ぼっちだったので、
その穏やかな時間が、談笑が、何者にも代え難い、幸せなものになりました。
みんなみんな、大好きでした。
back+index+next