『innocent place』
* BGM from VAGRANCY *


【old tale】V


数日後、ジュリアンに連れられてサティがジュリアンの館へとやってきました。
周囲をぐるりと高い壁に囲まれたとても大きな石造りの館で、
なんだかちょっと怖いようです。
ですが隣にはジュリアンがいます。怖い事なんてありません。

サティが城壁の中に入ると、元気な女の子が館から飛び出してきてサティの手を取り言いました。

「こんにちは!私はユーリ。ジュリアンの妹よ。
 あなたが来ると聞いてとっても楽しみにしていたの!
 さぁ早く中に入って!」 

ユーリに案内された館は、とても広いけれど、とても質素で、
お手伝いさんといえば、身寄りの無い年老いた老婆と、
片足が不自由な庭師の老人の二人きりでした。

ユーリはとっても元気で楽しい女の子で、
お手伝いさん達も親切です。
そして何よりここに居ればいつでもジュリアンと一緒です。
サティがジュリアンに感謝の気持ちを伝えると、
ジュリアンは安心したように微笑みました。

が、すぐにちょっと困ったような悲しい顔になり、
云い辛そうにこう言ったのです。

「私は他国や、領内の人に良く思われていない。
 何かあるといけないから、一人で出かけてはいけないよ。
 できることなら…館からは出ないで欲しい」


館は広く、その周りを囲う城壁は更に広く、
散歩をするには十分なので、外に出なくとも退屈しなくて済みそうです。

それでもサティはジュリアンの言う事が信じられませんでした。

ジュリアンはこんなに優しいのに。
ユーリはとっても明るい良い子なのに。
お手伝いさん達は親切なのに。

どうして周囲の人たちに嫌われているのでしょう?



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