【old tale】U
ある日、いつものようにジュリアンがやってきましたが、
今日は何だか様子が変です。
サティがかけよると、ジュリアンは手にひどい怪我しておりました。
驚いたサティは、遠い遠い昔に使われていた古い言葉で
ジュリアンの傷が治るようお祈りしました。
するとどうでしょう、
ジュリアンの手の傷があっという間に治ってしまったのです。
今度驚いたのはジュリアンです。
彼はとても怖い顔をして言いました。
「今した事は、二度としてはいけない。何があっても。」
その声があまりに真剣だったので、
サティがすっかり怯えてしまうとジュリアンは慌てて付け足しました。
「今、森の外では『魔女狩り』と言って皆おかしくなっているんだ。
良い事でも、悪い事でも、ほんのちょっとした事で掴まえられてしまう。
だから今した事は絶対に人前でしてはいけないよ?」
サティはジュリアンが怒ったのかと思いましたが、
自分を心配するあまりに怖い声になったのだとわかり、
ホッと安心すると同時に、
ますますジュリアンが好きになりました。
つかの間の春が終わると、ほんの一瞬夏が来て、
秋を感じる間も無くまた長い冬がやってきます。
その頃になると、ジュリアンはあまりサティの元へ来れなくなっておりました。
ようやくやってきても、前よりももっと疲れているらしく
サティにもたれて寝てしまう事もしばしばです。
サティはジュリアンが心配で心配でたまりません。
ジュリアンも、つねづねサティをこの深い森に一人にしておくのが
心配でたまりませんでした。
その上もう冬はすぐそこです。
雪が降れば、前のように頻繁にサティに会いに来る事が出来なくなってしまいます。
「サティ、私の家に来ないかい?」
「ここのように、森に囲まれて、キレイな泉があって、
動物達が遊びに来たりはしないけれど、
部屋はいつも暖かくして、
贅沢ではないけれど食べ物も用意する。
何より寂しい思いはさせないから。
だから私の家にこないかい?」
サティはこの森が、動物達が、静かな暮らしが好きでした。
でも、ジュリアンの方がもっとずっと大好きになっていたので、
サティは微笑んで こくり と一つ頷きました。
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